「受容体」というテーマを描き続ける
アーティストインタビュー | Liu Ten

◼︎作家プロフィール
Liu Ten
某国出身
某美大卒
年齢不詳
性別不詳
私を推し量る情報を遠のけてアーティスト名と
作品とそのタイトルのみで受け容れられたい
Q1. 現在はどのような作品を制作されていますか?
「彫刻絵画」という流儀を勝手に命名して制作しています。
100種類以上の「白」を調合するレシピを持っており、作品ごとに選び制作しています。
最近は、自分で漉いた和紙の上での作品と、花瓶のような立体作品も試作中です。

DrawSlowly Series 行住坐臥[四部作]のうち 臥(GA)
Q2. アーティストを目指したきっかけを教えてください。
幼稚園の頃にどこにでもあるような絵画教室へ通い始めたことが最初のきっかけです。
絵を描くと賞をもらえて褒められたり、お菓子をもらえたりして、それが純粋に嬉しかったんです。美術一本というわけではありませんでしたが、色々な出来事を経て、改めて絵と向き合うようになりました。
Q3. 制作活動の中で、大きな転機になった出来事はありますか?
働き出して忙しくなって気が付くと、描こうと思っていたテーマを思い出せなくなって長い時間が過ぎました。
それがある朝シャンプーをしている時に突然思い出したんです。
濡れた髪のまま慌ててメモを取りました。まるで記憶喪失の人が何を思い出す時はこういう感覚なんだろうなぁと思いましたね。
また、描いている絵の中で銀色に見える作品も偶然から生まれました。
ある日、終電を逃してしまい、描きかけのキャンバスをそのまま一晩置くことになったんです。翌朝見ると、白と混じったチタニウムホワイトの銀が思いがけない表情を見せていて、「これは面白い」と感じてそういう作風も生まれました。
振り返ると、私の制作は偶然に導かれてきたことが多いですね。

Angel Breath Zwei_(ツゥヴァイ)
Q4. 「受容体」というテーマには、どのような思いが込められているのでしょうか?
受容体(レセプター)とは、細胞の表面や内部に存在し、ホルモンや神経伝達物質などの特定のシグナル(情報分子)を受け取るタンパク質のことです。
シグナルと結合すると形状が変化し、細胞内に情報を伝えることで、体の様々な機能や反応を引き起こします。
この我々の体内にある受容体こそが、心という存在を解くためのイメージではないか?と思いつき、その視覚化を彫刻絵画という画法で表現しようと試みています。
これまで自分を強く主張する作品をたくさん見てきましたが、私は昔から水彩画の柔らかい表現が好きで、何かを強く訴えるよりも「受け入れる」ことの方がしっくりきていたんだと思います。
そうした価値観が、今の制作テーマにもつながっていると思います。
Q5. 制作する上で、一番大切にしていることは何ですか?
「納得するまで作り続けること」です。
一つの作品には最低10工程ほどあり、乾燥を待つ時間も必要なので、完成まで3か月ほどかかることもあります。黄変を伴う作品では一年ほど制作する場合もあります。
アトリエには10〜20点ほど制作途中の作品が並んでいて、それぞれ違う工程を進めています。
抽象作品は自由だからこそ、最初にある程度ゴールを決めておくことも大切にしています。

Undergoing Change -[g]
Q6. インスピレーションはどこから得ていますか?
日常生活の中で突然ひらめくことは、実はあまりありません。
普段から「受容体」というテーマについて考え続けていて、何か思いついた時にはすぐデッサン帳へ描き留めています。
作品のアイデアは、その積み重ねの中から少しずつ形になっていきます。
Q7. 今後挑戦したいことを教えてください。
映像作品や身体芸術とのコラボレーションに興味があります。
以前、ダンサーが作品の前で踊る展示を経験したのですが、空間芸術である絵画と、時間芸術であるダンスが重なることで、新しい表現が生まれる面白さを感じました。
今後は、様々なジャンルのアーティストと一緒に考えながら作品をつくってみたいと思っています。


「白」の一面や思考の深さに触れて、作品がより魅力的に感じられました。実際の作品ももっとじっくり鑑賞してみたくなりました。これからも応援しています!